▶概要
本研究グループでは,アモルファス金属・酸化物ガラス・金属ガラスから不規則構造をもつ結晶まで, 優れた機能を有するランダム系物質の特性発現機構解明のために,原子レベルの構造解析を推進しています。 また,最先端のX線技術を駆使した原子イメージング法および環境構造解析法などこれまでの限界を超える新しい構造解析技術の研究開発も進め, たとえばバルク構造に埋もれた微量添加元素周囲の特異な原子配列を解明し,新しい材料創製を目指しています。
本研究グループでは,アモルファス金属・酸化物ガラス・金属ガラスから不規則構造をもつ結晶まで, 優れた機能を有するランダム系物質の特性発現機構解明のために,原子レベルの構造解析を推進しています。 また,最先端のX線技術を駆使した原子イメージング法および環境構造解析法などこれまでの限界を超える新しい構造解析技術の研究開発も進め, たとえばバルク構造に埋もれた微量添加元素周囲の特異な原子配列を解明し,新しい材料創製を目指しています。
単結晶X線回折装置で取得した強度データから未知の材料の結晶構造モデルを決定します。 得られた回折強度の位置から14種類あるブラベー格子を特定しその格子定数を求め、 回折強度の大きさから結晶の持つ大まかな対称性(Laue class)を決定し、 直接法で構造モデルを決めて最小二乗プログラムにて結晶構造を求めていきます。 すべての結晶構造は230種類ある空間群に分けられます。
準結晶は並進対称性を持たず、230種類の空間群には当てはまらないが点群には属する原子配列をもっています。 2011年に発見者がノーベル化学賞を受賞しました。 研究室では準結晶と同じ局所的構造を有する近似結晶の構造を解析することで、準結晶の構造を解明しようとしています。 近似結晶中の全ての原子位置パラメータを決定し、構造を詳細に分析することで結晶には存在しない正二十面体構造等を発見しています。
目的元素の環境構造を解明できるX線異常散乱(AXS)法と3次元原子配列モデルを導出できる Reverse Monte Carlo (RMC)法をドッキングした方法をAXS-RMC法と呼びます。 AXS法とは目的元素に固有の吸収端近傍でX線エネルギーを変化させ測定を行い、 散乱強度の差分を取ることによって目的とした原子の情報のみを得る方法です。 また、RMC法とは実験データに合致するような干渉関数が得られるよう原子を移動させ、試料の原子配列を得る方法です。 本研究室では主にAXS-RMC法を用い、非晶質合金の部分構造関数の解析を行っています。
実験で得られた回折強度データから電子密度分布を可視化する手法の一つにマキシマムエントロピー法(MEM)を用いたものがあります。 束縛条件下で基準となる電子密度(はじめは完全に均一な電子密度を基準にします)を用いてエントロピーが最大となるような電子密度を推定します。 束縛条件には、推定した電子密度からフーリエ変換により得られた構造因子と観測された構造因子とが測定誤差の範囲で一致しなければいけない、 ということを用います。束縛条件を満たさなければ、推定した電子密度を基準として置き換えて再びエントロピー最大となる電子密度の計算を繰り返します。