▶装置概要
光が物質中を通過する際,構成原子の電子が光の振動電場に揺さぶられることで 通常の基底状態から励起状態に遷移することがあります. 蛍光は,この励起状態から振動緩和を経た後で基底状態に電子が戻る際の発光の一種です.
本研究グループに整備されている分光蛍光光度計は,この蛍光を検出する装置です. 無機物質では,遷移金属や希土類元素などが発光中心となるため, 蛍光を検知することによって,発光中心として機能する微量元素の有無および含有量は勿論のこと, 電子遷移に関与する軌道間のエネルギー差も見積もることができます.
また本装置は,物質の反射率や透過率の測定をすることも可能です. 反射率や透過率の測定から,含有元素の酸化(価数)状態を推定や物質のバンドギャップの推定が可能であり, 軌道間エネルギーの推定も含めて電子状態を定量的に評価できます.本装置で測定可能な波長レンジは,220-750 nmです.